鍵には権力などの意味があることについて述べてきました。ここでまた新たな意味について紹介したいと思います。それは主婦という意味です。昔から家を預かる役割を持っている主婦は家の財産を管理したり、地下の貯蔵品や保存品を守るための鍵をもっていました。そのことから、鍵=主婦の座という象徴にもなってきます。
日本でも鍵についての記述が見られると言われている8世紀の「日本書紀」には富の象徴として認識されていたことがわかる記述があります。そこには「新婦」が「天から与えられた」ものである「鍵」を夫に持ってくることで夫が「富」を得るという物語が描かれているのです。それと関連付けて同じく8世紀の「万葉集」には妻との別れ話もないままに隣の家の美しい娘に鍵を渡してしまうという歌が登場します。この解釈として鍵を渡すことで妻として向かい入れる女性として認められるという意味になってくるのです。鍵を男性が渡すことで求婚という意味付けがされます。
現代でも男性が女性に家の合鍵を渡したらそれは口説いていることと同じです。それと同じことが万葉集のころからされていたのですね。
そしてこれは日本だけではありません。ヨーロッパでも昔話の研究者であるグリムによってこのような主婦権が指摘されています。いわく、鍵とは主婦の権力のシンボルである。そして花嫁は結婚の日に鍵を飾り付けて現れるのだそうです。それは腰帯につるされ、もし権利を手放して離婚するときにはこの鍵を外して夫に返すのだそうです。
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